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2019年6月29日~7月6日 蔵の床組みを作り直す

 
キャンプ場予定地内の蔵の柱の土台の修理が終わったので、次は床組み(床板を張るための構造)を作る作業に取り掛かりました。



6/29(土) 床組みの再建方法を決める

今日から蔵の床組みの再建に着手する。床板は水平になるように張らないといけないので、見浦牧場から借りてきたオートレベルという装置を使って、蔵の床板が水平になるように壁に印をつけて、床板を張る高さに水糸を張る。一番高い南東隅の柱の土台に高さを合わせると、入り口付近の床は敷居より5cm程高くなってしまい、そのままでは入り口が入りにくくなるので対策が必要だ。また、蔵の中央の地面がかなり低くなっているので、大引き(床板を支える太い木材)を下から支える束が普通に売っているサイズでは届かないのでこちらも何か対策を考える必要がある。
11時ころHさんがやってきたので、これからの作業のやり方をHさんと3人で相談する。ああでもないこうでもないという議論の末に、壁の部分は柱の間に残っている腐った土台の木を取り除いて、床板を載せる高さになるように木材をレンガやモルタルで支えて代わりの土台を作る。壁以外の部分は、大引きを縦方向に91cm(構造合板の幅)間隔で並べられるように束石や高さを変えられる鋼製束を置いて、その上に大引きを載せて固定する。床板に通常の合板の2枚分の厚さの24mmの構造合板を使えば、通常は45cm間隔で大引きの上に並べる根太が不要になる。床の高さが入り口の敷居より5cm高くなってしまう問題は、入り口付近の畳一畳分ほどの床を土間のように低くすることにした。また、地面が低くて束が届かない件は、地面に砂交じりの砂利を積んで底上げすることにした。
工事の方向性が決まったので、次は必要な資材の種類と量を計算する。木材については以前Sさんが「廃屋解体のときに出た古材をあげるよ」と言われていたので、相方がSさんのところにいって古材のサイズを調べたところ、10cm角の長さ4m弱の古材が20本ほどあることがわかり、後日それをもらってくることにした。それ以外に必要なセメントや砂、レンガ、束石、鋼製束などを次の日に買ってきて作業を始めることにした。
段取りが決まったので解散しようとしたところ、Hさんの車のエンジンがかからない。ライトがつきっぱなしだったらしくバッテリーが上がっていた。幸い今日は週末、集落内にある古民家に軽トラダンプを世話してくれたOさんが来ているはずなので、Oさんに電話して事情を話す。しょうがないなとすぐにキャンプ場予定地に来ていただけることになった。
ほどなくOさんの愛車のランドクルーザが現れた。Oさんは、「昔の車はバッテリーが上がっても押しがけでエンジンがかかったのに、最近の車は面倒よね」と言いながらHさんの車の状態を確認する。Oさんのランドクルーザのボンネットを開けると、なんと大きなバッテリーが2つもついている。そのうちの1つを外してHさんの車のところにもっていき、ブースターケーブルで繋いでエンジンをかけると無事エンジンがかかった。さすが車屋さん、JAF顔負けの鮮やかな手際だ。Oさんは帰り際、蔵の前に置いてあった年代物の発電機を見て、「うちに大きな発電機があるから使うなら貸してあげるよ」と言ってくれたので、あとで見せていただくことにした。かたずけをしてからOさんの古民家に行き、コーヒーをごちそうになった後、ガレージの発電機を見せてもらったら、水上バイクを運ぶトレーラーに乗せた大きなディーゼルエンジン発電機。ボタン1発でエンジンがかかるのは魅力的だが大きすぎて置き場所に困るので借りるのは見送ることにした。

6/30(日) 床組みの資材を買いに行く 

前日夜に降り出したまとまった雨が弱まった朝、母と相方と北広島町のオークガーデンに出かける。毎週日曜、ここで日本海の浜田市の魚屋さんが鮮魚市を開催しているのだ。道路事情が悪かった昔では考えられなかった新鮮な魚や干物が並んでいる。私は灰干のサバと刺身用のアジを買う。母のほうは大家族の見浦牧場用なので魚の買い方も豪快だ。
午後、軽トラダンプでホームセンターのジュンテンドーに当面必要な資材を買いに行くと、集落の東端に住んでいるS田さんに会った。モルタル用の砂が結構な量必要なので安く入手する方法はないか相談すると、S田さんがいつも頼んでいるMさんに連絡を取ってくれ、2tでいくらになるか月曜日に調べて連絡をもらうことになった。ジュンテンドーでセメントレンガ、セメント、防腐剤を買って軽トラダンプに積んで帰る。古材は翌日朝一でSさんの家にもらいにいくことにする。

7/1(月) 古材をもらって加工する

大きな黄色い花が目立つ夏の花ハンカイソウ
朝、古材をもらおうとSさんのうちにいったら車があるのに姿が見えない。あきらめて、蔵の地面の底上げ用に、見浦牧場の母屋の横の砂利採取場から砂利を7回ほど運搬する。
すると、Sさんが歩いているのが見えたのでSさんの家に向かう。聞くと、朝具合が悪くて、友達に頼んで病院に行って点滴を打ってきたとのこと。ここは最寄りの病院まで20km、ケガや病気は心配だ。
ちょうどHさんも到着したので3人で20本程の古材を軽トラダンプに積んでキャンプ場予定地に運搬する。
この古材、実はクリと同じように非常に硬くて丈夫な「アピトン」という輸入材で、土台や大引きに使うのはもってこいの木なのだが加工するのは大変だ。古釘がたくさん残っているのだが硬くて抜けないので、カナヅチで釘をたたいて繰り返し折り曲げて根元から釘を折って取り除く。土台に使う分はチェンソーで90cm弱の長さに切ってそのあと防腐剤を塗って乾かす。必要な本数の半分ほど切って本日の作業は終了。
その間、Hさんは床の水糸の高さになるように古材をはめ込むため、壁板を切ったり、土壁の残りを落としたりした後、できた隙間に防腐剤を塗った古材をはめ込み、古材の下に入れたセメントレンガとバッサ(固く練ったモルタル)で高さを調節する。これを2本取り付けたところで、今日の作業は終了。
壁際に防腐剤を塗った古材をはめ込んで作った土台
夕方家に帰るとどこからかか細いヒグラシの声が聞こえてきた。夏本番までもうすぐだ。

7/2(火) 蔵の地面の底上げを準備する 

湿度が高く、動いていると汗が噴き出す。土台に使う木材ののこり半分の切断と防腐剤塗布を済ませる。そのあと足りない資材を買いにジュンテンドーへ。戻ってきてから、蔵の地面に底上げ用の砂利を運ぶ方法を検討する。結局一輪車で運ぶしかないという結論になり、一輪車が通れるように前室の前に積んであった大量の瓦をかたずけ、蔵の入り口の段差を乗り越えるために板でスロープを作る。
Hさんは、土台の設置作業を順調に進めていき、3面あるうちの2面の作業が完了した。

7/3(水) 壁際の土台が完成する

時々小雨が降る天気。
Hさんは最後の1面の壁の壁際の土台に取り掛かり、夕方までに土台がすべて完成した。
我々は、蔵の地面のかさ上げ作業。一輪車2台を使って母屋跡の一角に積んである砂利をスコップで一輪車に積んで蔵の中に運び入れ、地面に降ろしてもとの大引きが載っていた2つの大きな石を取り囲むようにならしていく。これがなかなか重労働だ。

7/4(木) 古材を大引きに加工して設置する

久しぶりに青空が見える朝。Mさんが2tダンプでセメント用の砂を運んできてくれた。Mさんは御年89才、颯爽と2tダンプを操る様は信じられないほど元気だ。蔵の様子を見て「はがした土壁は水で練ればまた使えるよ」と教えてくれて、「こういうことをしていると上手になるから頑張って」と励ましてくれた。
午前中は蔵の地面のかさ上げ作業。作業を少しでも楽にしようと、一輪車に砂利を積む部分を油圧ショベルでやることにする。
その間にHさんは、真ん中の大引きを載せる束を準備する。もともと大引きが載っていた大きな石の上にバッサ(固いモルタル)を積んでその上に束石を置き、4方から束石の下に差し込んだくさびで束石の高さと傾きを調整していく。
次は束石に乗せる大引きの加工と設置。蔵の長辺の長さは約7m、古材1本では長さが足りないので丸のこで2本の古材を適切な長さに切ってから2本のつなぎ目にはZ型になるように切れ込みを入れる。それを蔵の中に運び込んで束石の上に置いたら、2本のつなぎ目に電動ドリルで穴をあけてボルトを通してつなぐ。釘が抜けないほど硬い木材とは思えない手際の良さだ。
午後、蔵の地面のかさ上げ作業が終わったので、足りない束石、ブロック等を軽トラダンプで買いに行く。買い物経路のここ小板から隣の集落の松原までの191号線は「あじさいロード」と呼ばれ、道の両側にアジサイがずらっと植えられているのだが、そのアジサイの花がぽつぽつ色づき始めている。
買い物から戻ってきたら、Hさんは大引き2本分の古材を加工し終わっていた。早速大引きを設置するため、買ってきた束石を地面に並べる。大引きの両端は安定感のある背の高い富士山型の束石、間は高さ調整を省力化するため「ピンコロ」と呼ばれる四角い束石を置いてその上に高さを調整できる鋼製束をおく。束石の高さ調整をしてから加工した木材を2本載せ、間をボルトでつなぐ。2本目の大引きが完成したところで今日の作業は終了。
家に帰ると相方の電気工事士2種の筆記試験の合格通知兼実技試験の受験票が届いていた。実技試験は1か月半後だ。
夕方の青空。空の様子を見ながら作業を終える

7/5(金) 大引きの設置完了

日が照ると暑いが、朝晩は涼しい。
相方は2日程前に虫に刺された左手首が異常に腫れてしまったので病院に行く。都会育ちの相方はブヨやアブに免疫がないらしく、時々刺された跡がものすごく腫れて大騒ぎになる。回りの人は、口々にそのうち免疫ができるよと言ってくれるのだが、早めにできてほしいものだ。
Hさんは残りの大引き用の木材を加工する。私は蔵の中に並べてある束石の下に浅く穴を掘り、水糸の高さにあうように砂利を入れて固めて束石が水平になるようにしていく。そのあとHさんが束石の下にバッサ(固く練ったモルタル)を入れて束石の高さを最終調整してから大引きを載せてボルトでつなぐ。こうして蔵の中の大引きの設置が完了した。
設置が終わった大引き
次は外側から蔵の土台部分を補修するつもりで壁板をはがし始めたら、土壁がボロボロ崩れてしまう。土台を取ってしまったので、下から土壁を支えるものがなくなってしまったのだ。土壁は下地の木材が入っているところを含めて厚さが15cmぐらいあり、相当な重量だ。
下の部分がなくなってしまった土壁
一番ひどいところは下から30cmぐらいところに亀裂が入り土壁がずり落ちてしまっている。これ以上崩れないように下から土壁をささえる対策が必要だ。本来は土壁を作り直すのだろうが、縦に割った細い木やわら縄で作った下地まで含めた土壁の再生など我々にできるはずもない。土壁の崩落を防止できて自分たちにできる方法をと考えた結果、木材を買ってきて土壁の下に角材を入れ、崩れた土壁を再利用して角材とその上の土壁の間の隙間を埋めることにした。

7/6(土) 蔵の床組みが完成する

朝、土壁の崩落防止のための木材を買いに行き、戻ってから蔵の北側の壁から土壁崩落防止のための細工を始める。相方は板をはがして、崩れた土壁を取り除き、土壁の中に縦方向に入っていた木材を切り落として木枠を入れるスペースを作る。幅5cm弱の木材を切断して木枠を組み立て、防腐剤をぬって壁にはめ込む。私は拾い集めた土壁の塊を木槌でたたいて崩し、バケツにいれて水を加えて練って粘土状にしてから、木枠の上の土壁との隙間に、練った土を押し込んで隙間を埋めていく。
土壁再生の作業場。崩れた壁から拾ってきた土壁の塊を木槌でたたいて崩す。

その間、Hさんは蔵の床組みの仕上げ作業。もともと立っていた中央の柱を復活させて、大引きの壁際を木材の束で支え、入り口付近の土間になる部分の大引きに横木を取り付け、ついに蔵の床組みが完成した。
完成した床組み

Hさんは明日から1週間本来の小板訪問の目的だったかやぶき屋根の応急修理をしてから2週間ほど仕事で関西のほうに出張に行き、戻ってきてからはかやぶき屋根の応急修理に専念するそうだ。そのため、今日がHさんに手伝っていただける最後の日となる。Hさんに手伝ってもらって蔵の屋根修理に着手してから1か月弱、何をどう修理したらいいか見当もつかなかったのに、Hさんのおかげでずいぶん進んだ。その間にいろいろな道具の使い方や施工方法などたくさんのことを教えてもらった。Hさん本当にありがとうございました。














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