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水道凍結との闘い

 

 小板まきばの里は、西中国山地の標高780mの山里にあり、冬は最低気温が-10度、最高気温も終日氷点下になる日も少なくない。子供のころは、凍結しそうな気温のときは、水道の蛇口を少し開けて水が常に流れるようにして凍結を予防していたものだ。

だから、この地に通年営業のキャンプ場を作るにあたっては最初から凍結対策が必要なことはわかっていた。

凍結対策の原則

凍結に対する基本的な対策は

水を使わない場所は

・水道管や蛇口の水を抜く

・排水トラップなど水がたまるところには住居用の不凍液を入れておく

水を使う場所は

・すこしだけ水を流し続ける

・凍結防止ヒーターで水道管を保温する

である。

どこにどのようにこれらの対策を施すかが工夫のしどころだ。

開業前の凍結対策

そこで、開業前の工事では、以下の対策を実施した。

1.洗い場・手洗い

・使わないときに水を抜けるように、配管の要所要所に水抜き付き止水栓を取り付け

止水栓(水抜き付き)

・水道の蛇口に「不凍水栓(気温3度以下になると自動的に少量の水を流す機能が付いた水栓)」を取り付け

不凍水栓

・給湯器の本体は凍結防止機能付きのものを採用し、配管には水道管用ヒーターを取り付け

NFオートヒーターと保温テープ

2.トイレ

・トイレ棟内の主配管が凍らないように、配管の終端の屋外に不凍水栓つきの蛇口を取り付け


・主配管から各便器への配管には水道管用ヒーターを取り付け

便器とウォシュレットへの給水管へ
凍結防止ヒーターを設置

・便器は寒冷地仕様を採用

・小便器の水栓は必要な時に水を流し続けられるように手動水栓を採用


初めての冬

万全と思われる凍結対策を準備して2020年8月に開業し、初めての冬を迎えた。

明け方氷点下まで冷え込んでも不凍水栓のおかげで洗い場の水道は凍らず、凍結対策はうまくいっているように思えた。

しかし、さすがに初めての冬だけあって、寒さが進むたびに次々に想定外の問題が発生した。

最初に凍結したのは、不凍水栓をつけた洗い場だった。不凍水栓のおかげで蛇口は凍らなかったものの、不凍水栓から流れる少量の水が排水管の中で少しづつ凍って排水管が詰まってしまったのだ。ホースで給湯器のお湯を排水管に流し込んで氷を溶かし何とか復旧したが、排水管が地上にあるところでは不凍水栓で水を流し続けるという作戦が使えないことが判明した。

そこで、洗い場の不凍水栓をすべて取り外し、水道管と蛇口に水道管用の凍結防止ヒーターを取り付けて保温テープで巻くという対策に変更。

次に凍結したのはトイレだった。便器を寒冷地仕様にしたから大丈夫と安心していたのだが、終日氷点下になる日にタンクの水が凍って、水が流れなくなってしまったのだ。慌てて給湯器のお湯をタンクに入れて復旧する。給湯器は凍結復旧のためにつけたのかと思うほど役に立つ。

改めて便器の説明書を読んでみると、「寒冷地仕様」というのは、タンクや給水管は水抜きをする前提で、水抜きできない排水トラップ部分をヒーターで凍らないようにするというものだった。お客様がいないときならタンク内に不凍液を入れておくという方法もあるのだが、お客様がいるときはその手が使えない。そこで、タンクが凍結しそうな日はトイレ棟内を電気ストーブで暖房することにした。ただし、この時はまだトイレのドアが完成しておらず、ビニールシートを入り口に下げているだけだったので、ストーブによる暖房効果も限定的だったため、特に寒い朝はとりあえずタンクにお湯を入れる、という運用で何とか冬を乗り切った。

2度目の冬

翌年の2021年、念願のトイレ棟のドアが完成。断熱性が上がり、電気ストーブによる暖房でタンクの凍結は発生しなくなった。これで凍結対策は完璧か、と思った矢先、終日氷点下の寒波の日に、トイレの排水管が凍って詰まる、という事件が発生。排水管が凍るのは少量の水を流し続けているときだけのはず。トイレに水は流し続けていなかったはずなのに、なぜだろう?といろいろ調べた結果、原因が判明。実は採用した便器は最新型で、便器への汚れの付着を予防するため定期的に自動で便器内にミストを噴射する機能が付いていた。3つの便器から流れるミストの水が少しづつ凍ってついには排水管が詰まってしまったというわけだ。1年前はこういう日は先にタンク内の水が凍っていたので、タンク内に都度お湯を入れて復旧していた。そのおかげで排水管の氷が解けていたらしい。ミスト機能は止められないので、寒波が来ている最中は、時々排水管にお湯を流すことで対処することにした。

3度目の冬

これで凍結対策は十分だろうと思いながら迎えた2022年の冬、日中マイナス8度という最強寒波が到来すると、なんと洗い場の蛇口と水道管がヒーターをを取り付けているのにも関わらず凍ってしまった。この日は気温が低いうえに風が強く、壁がない洗い場の配管や蛇口に直接冷たい強風が吹きつけたせいで、ヒーターのパワーが追い付かなくなってしまったらしい。とりあえず蛇口と配管に毛布をかぶせて風よけし、ヒーターが氷を溶かしてくれるのを待っていたところ、翌朝無事復旧していた。風よけ対策が必要だとわかったので、水道管と蛇口の保温テープの上からさらにプチプチをまき、水道管の前に風よけの衝立を設置した。

凍結防止ヒーター+保温テープ+プチプチで凍結対策した洗い場の蛇口と
蛇口の後ろの配管に追加したベニヤ板の風よけ


4度目の冬

2023年の冬は、暖冬予報。前年の厳しい寒さを乗り切ったのだから、さすがにもう大丈夫だろうと安心していたのだが、どうしてどうして想定外はさらに続く。

2023年の12月、日中マイナス6度の日、前の年に日中マイナス8度を乗り切った実績がある給湯器の内部の給水管が破損して水が噴き出す。翌日は雪中キャンプのお客さんがくるので大急ぎで修理を依頼する。朝の除雪車出動後に降り続いた雪で何とかギリギリ車が通れるぐらいの雪が積もっている中を、修理担当の方が駆けつけてくれた。本当にありがたい。取り急ぎ部品交換で仮復旧して、後日、本修理をしてもらったが、原因は給湯器のカバーの穴から入った虫のせいで基盤が故障してヒーターが作動しなかったためとのこと。給湯器に虫よけ対策が必要とは、予想だにしていなかった。忘れないうちにと給湯器に「寒冷紗」という目が細かい網をかぶせておく。

給湯器の下半分の空気穴に虫よけの網を設置

明けて1月、以前発生したときほど気温が低くなかったのに排水管が凍って詰まる現象が再発。理由を考えてみたところ、今年は雪が少なかったせいで、例年トイレ棟の床の前に出来ていた落雪による雪の壁が出来なかった。そのため今までは雪の壁でさえぎられていた冷たい風が、この冬は直接床下にある排水管に当たるようになったため凍りやすくなったと思われる。そこで排水管をプチプチでまき、排水管の前に木の板で風よけを取り付ける。

さらにこれ以外にひやりとした事件もあった。それは倒木による停電だ。着雪注意報が出るときは倒木が発生しやすい。それが運悪く電線近くで発生すると停電してしまうのだ。停電するとヒーターによる凍結対策が効かなくなる。幸い今回は3時間ほどで復旧して事なきを得たが、長時間の停電が発生した場合は排水管が凍らない程度の量の水を流し続ける、という対処をする必要がありそうだ。

5度目の冬

前年に、トイレ棟の排水管の風よけとプチプチを巻く、という対策をしたので、もう大丈夫だろうと思っていたが、終日氷点下が続く日に再び排水管が凍って詰まるという事件が発生。気温は終日氷点下、こんな日は一度凍ってしまうとお湯を流してもなかなか復旧しない。これはやはりヒーターを入れるしかなさそうだ。ということで前回排水管に巻いたプチプチを取り外し、排水管全体に凍結防止ヒーターを取り付けてその上をプチプチでまくという対策を施す。

トイレ棟床下の排水管に凍結防止ヒーターを取り付け

6度目の冬

こうしてようやく6度目の冬に、どこも凍結することなく冬を乗り切ることに成功した。とはいえ何もしなくてもいいというわけではなく、凍結しそうな日には以下の対策を実施する必要がある。
・終日氷点下になる場合、トイレ棟の排水管のヒーターを入れる。
・マイナス5度以下になる場合でお客様がいない場合、トイレ棟の洋式トイレのタンクと小便器の排水トラップに住宅用の不凍液を入れておく。お客様がいる場合はトイレ棟内に設置した電気ストーブをつける。
ペットボトルに住宅用不凍液を4倍に薄めた液を作って使用


それにしても、凍結対策は奥が深い。冬季に閉鎖するキャンプ場が多いのも納得である。



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